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2017.09.15

熊本地震による消費税簡易課税制度選択(不適用)の特例

平成29年4月に租税特別措置法の一部が改正され、特定非常災害の被災者である事業者について、消費税法の特例(災害特例)が設けられました。

消費税法においては、非課税取引となる事業を営む事業者(賃貸マンション経営など)の還付スキームを防止するために様々な規制がかけられていますが、災害特例によりこれらの規制が一部解除されることとなりました。 

熊本地震による災害により被害を受けた事業者についても、この特例の適用対象となりますので、平成29年4月1日以後に終了する課税期間から、以下1~4の災害特例が適用されます。

1.課税事業者の選択不適用届出書の提出期限の解除

 「消費税課税事業者選択届出者」を提出することにより、消費税の免税事業者でも課税事業者になることが出来ます。ただし、いったん課税事業者を選択してしまうと2年間はその選択をやめることが出来ないという縛りがあり、さらに、その2年間に税抜100万円以上の固定資産を取得した場合には、その取得後3年間は課税事業者として拘束されることになっています。 

しかしながら、被災日前に「消費税課税事業者選択届出書」を提出していた被災事業者については、平成29年4月1日以後終了する課税期間から、災害特例によりこれらの制限が解除されます。

なお、この特例を受けるためには、課税事業者の選択をやめようとする課税期間開始の日の前日までに「消費税課税事業者選択不適用届出書」の提出を行う必要があります。

2.新設法人等の事業者免税点制度の適用制限の解除

基準期間(原則、前々事業年度のこと)の課税売上高が1,000万円以下である事業者は、消費税を納める義務が免除されます。この制度のことを「事業者免税点制度」といいます。

新たに設立された法人については、設立1期目および2期目の基準期間がないため、原則として納税義務が免除されますが、資本金の額1,000万円以上である場合には、納税義務は免除されません。 

 資本金の額1,000万円以上である法人の場合、設立3期目以降の納税義務は通常、基準期間における課税売上高により判定されますが、設立1期目または2期目に税抜100万円以上の固定資産を取得し、その申告を一般課税で行った場合、その取得日から3年間は納税義務が免除されず、簡易課税制度の選択も出来ないことになっています。 

しかしながら、被災事業者については、平成29年4月1日以後終了する課税期間から、災害特例によりこの制限が解除されます。

3.高額特定資産を取得した場合における事業者免税点制度の適用制限の解除

消費税の課税事業者が、高額特定資産(税抜1,000万円以上)を取得し、その申告を一般課税で行った場合は、その取得日から3年間は納税義務が免除されず、簡易課税制度を選択することも出来ないこととされています。 

 しかしながら、被災事業者については、平成29月1日以後終了する課税期間から、災害特例によりこの制限が解除されます。したがって、納税義務の判定は、通常通り基準期間における課税売上高により行うこととなります。

4.簡易課税制度の選択後2年間の継続適用の解除

「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出することにより、一定の要件を満たす課税事業者は簡易課税制度の適用を受けることが出来ますが、簡易課税制度を選択した場合、2年間はその選択をやめることは出来ないこととされています。 

しかしながら、被災日前に「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出していた被災事業者については、平成29年4月1日以後終了する課税期間から、災害特例によりこの制限が解除されます。

なお、この特例を受けるためには、簡易課税をやめようとする課税期間の開始の前日までに「消費税簡易課税制度選択不適用届出書」の提出を行う必要があります。

■ 災害特例を受けようとする場合にも届出の期日は本来のままです

上記のとおり、課税事業者又は簡易課税制度の選択を行う(または選択をやめる)場合には、選択する(または選択をやめる)課税期間の開始の日の前日までに、それぞれ届出を行う必要があります。


《参考リンク》

国税庁 平成29年度税制改正における災害に関する税制上の措置について
https://www.nta.go.jp/sonota/sonota/osirase/data/h29/saigai/kaiseisochi.htm

熊本地震により被害を受けた事業者の方へ 消費税法の特例に関するお知らせ
https://www.nta.go.jp/kumamoto/topics/saigai/pdf/joho03-1.pdf